女性医学会シンポジウム~ 「性教育と性感染症」なるほどメモ ~主に中高生に関する問題をどのように産婦人科医がとらえているか的な話

シンポジウムは、シンポジストがそれぞれのお題でお話。記事のボリュームは、なるほど、これは知っとくといいですね的な順になっており、それぞれの先生が密度の濃いお話をされていました。聴き取りながらiPadに入れてたので、聞き逃していることとか多少のズレがあるかもしれません。カッコ内は感じたこととか補足です。

性教育というととかく「セックスを勧めるのか!」「妊娠の知識を持てということは女に妊娠しろということか!」という意見が出るが、どれも的がずれている。

 

妊娠に関する知識を持つということは、同時に避妊に関する知識も得られるということ。当然、女性だけでなく、男性側も知っておくべきこと。

「中高生に対する低用量ピルの役割の伝え方」

あおもり女性ヘルスケア研究所 蓮尾豊先生


中高生に対して、特に中学2年生くらいのときは、ピルと避妊を積極的に結びつけるのではなく、月経トラブルや月経周期調整の役割があるを伝える。ついでに避妊の知識も伝えるようにすれば、教育的な観点からも間違ったものにはならない。

(20歳前後までは月経不順であったり、量もまちまちで、学業その他に支障の出ることもある。また、原因のはっきりわからない月経痛が特に思春期では多い。性教育=セックスを推奨するのかみたいな意見は根強いが、はよその層は死滅してほしい)

中学3年生くらいからセックスとの関連も伝えていく。

産婦人科医の役割については、診察ではなく、相談にきてほしいと、産婦人科医自らが発信するべきである。

(困った時には相談される相手になろうという呼びかけであるが、産婦人科医の診察で屈辱的な気分を味わったりするなどして二度と受診したくないという声があることも産婦人科医は十分に知っておくべきだと思う)


また、みかけや年齢に関係なく、患者を診察する際には、妊娠の可能性を考えるべき。
(一度でも月経があれば妊娠する。というか、初経前にセックスしていれば妊娠していることもある。身内からレイプされる人だって激レアではない)

コウノドリや若年の妊娠に関し、世間はひどく驚き、センセーショナルなものとしてとらえているが、日常に数百ある一つのことをドラマにしているから、私たち産婦人科医は全く驚かない。

ところで、38年にも及ぶ月経期間が、女性にはハンディキャップにもつながる(仕事や学業に支障をきたすという意味)。


また、イベントに月経がぶつかったらどうしようと不安を感じる時がある。
修学旅行や受験、デート、大切な行事など。そこに産婦人科医は介入すると大きな女性の生活の質向上に貢献できる。年4回くらいに出血の回数を減らすこともできる。
(ピルは、21日間飲んで7日間休薬するパターンで飲んでいる人が多いと思いますが、実は数ヶ月飲み続けて月経そのものの回数を減らしたり、イベントに合わせてずらすことも可能です)

 

ここで、月経周期の調節法に関するスライドをご覧ください。

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2008年、オリンピック欧米女性選手の83%がピルを服用していたが、4年後の2012年でも、日本人選手のピル内服率は7%のみ。理由はドーピングに引っかかるのではないかとか基礎的な知識のなさ。今まで、ピルを理由に金メダルを剥奪された選手がいただろうか。
(月経の時って血液が生理用品から漏れて服を汚さないかとか気になるので、アスリートなら余計に出血量も痛みも減り、期間のコントロール出来る方が有用と考えているのがユーザーとしての考えであろう)

産婦人科医の要望としては、望まない妊娠を避けることだけが性教育ではなく、希望した時に妊娠できるようになってほしい、そのための知識を持ってほしい。
(産むか産まないかは個人の選択や自由に任されており、妊娠のしやすい時期や方法を知るのは逆に避妊の知識にもつながり、女性に産むことを強制するものではない)


また、時代によって、各世代の社会的な役割があり、江戸時代でならともかく、10代は子育て期ではなく、学んだりする時期。
(昔はそれこそ平均寿命も短く、十代からの出産はなんら珍しいことではなかったが、現代では10代はもちろんのこと、さらに20代までの多くが妊娠ではなく学業や仕事を抱えている)

10代で出産した人、中絶した数のデータ。

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15歳で189名中3人は2人目を産んでいる。
17歳で、3名は3人目の出産、1914名中84名は2人目の出産。


なぜ、希望しない妊娠になるのか。
4月の妊娠なら、8月になると中絶可能な期間は終わってしまう。あっという間に時が過ぎ、中絶可能な時期が過ぎ、望まない妊娠が出産へとつながる。
(つまり、産む気がなくとも妊娠週数などの知識がないために、初めて産婦人科を受診する頃には産むしか選択肢が残されていない。まぁ、初めて受診して臨月とかあるあるですし太ったと思ってダイエットしてたとかもあるあるですし)

 

「中高生の望まない妊娠に関して」 ウィメンズクリニック・かみむら 上村茂仁先生

産み、育てられる年齢になるまで性的な行為を中高生はしないことを伝える。
産婦人科医は、中絶したらピル、緊急避妊ピル希望したら継続的にピルの内服をするようすすめる。


(こういう時に製薬会社や医者の儲け目的かよみたいな陰謀論がありますが、人口妊娠中絶は自費診療で10万以上はかかるので、ピルをすすめるより、極端に言えばバカスカ中絶する方が収入にはなります)

お互いを大切にしようと思うなら、男の義務でコンドームを。女性の方も、彼が飲んでくれと言ったからピルを飲むのではない。自分の意思で飲もう。


(上村先生は患者さんとメールやLINEで連絡をするタイプの方のようで、普段どういったやりとりがあるのかのスライドが提示されたが、個人情報というか、学会で匿名として表に出すことは患者さんから同意を得られたかもしれないが、ブログへの引用はいかがなものかと思うので省略)


(ここで、避妊の効果はわかりにくいので、5万人が来場するコンサートに例えて妊娠の確率を表現。これはわかりやすいので参考にしてほしい)

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性感染症の動向」 京都府立医大 岩破一博先生


妊娠するのが怖くてオーラルセックスでの性感染症が増えている(膣に挿入するのは妊娠するから怖い、だからオーラルセックスになるけど、基本的に生だから感染症は増えるのであろう)

 

産婦人科医から、あるいは大人からの指導方法としては、〜をするのはダメという指導ではなく、〜するのはかまわないよというお話をしよう。

緊急避妊ピルをもらいに来るのはレイプが約半数。

(マジかレイプ犯、世の中で最も惨めに、孤独に、残酷な死に方で死ね)

通常のつきあいの中では「医者に股を開いて見せたいのか」というパートナーもおり、もらいたくてももらいに来れていないのではないかという可能性がある。

(即時に別れることをお勧めしますね)

先進国の中で唯一性行為によるHIV陽性か右肩あたりに増加、HIV感染の約半数で梅毒との重複感染がみられる(HIV感染を発見したら梅毒も調べておくといいすね的な)。

「タビトラ個人の全体の感想」


全員の先生から患者に寄り添おう、真摯に向き合おうという姿勢が見えて大変良かったです(小学生並みの感想)