生理前、イライラしたり死にたくなったり暴力、暴言をはたらきそうになるあなたに、そうでなくとも生理前、つらいあなたに~月経前症候群と月経前不快気分障害

 

ある日、何とはなしに「産科と婦人科」2016年12月号を手に取ると、「月経前症候群、月経前不快気分障害の最新知見」とな。

 

それが、あまりに知ってくれみんな!という内容だったので、かみ砕いて文章化していこうと思う。

 

 

PMS/PMDDとはなんじゃ

 

PMSとPMDDは、古くは紀元前から認識され、古代ギリシャ人は「子宮が胎児を探し求めて体内をさまよい、月経が来るとおさまる」という説を信じていたもよう。ホラーすぎる。

 

両方とも、大きな差はないが、鬱々としたメンタルの落ち込み、怒りの爆発や不安感などの精神症状、おっぱいの張りやむくみ、おなかのふくれるかんじや頭痛、体重増加などの身体症状両方で、実際には、月経前になると普段ならやり過ごしているようなことでもイライラがコントロールできない。それへの自己嫌悪もひどい。

 

仕事をしている人なら職場での人間関係に支障をきたすこともあるし、子持ちだと「虐待してしまいそう」と駆け込んでくる人も。過食をくりかえしたり、むくみに悩んだり「普段の私はこんなんじゃない!つらい!」っていうかんじ。

さらに高校生は11%がPMSPMDDで学校欠席って、学業に支障出ちゃってる!

 

「中等症から重症のPMS/PMDDで治療が必要な75人のうち、治療を受けているのは5人、患者は200万人いる」て、おいおい!

 

というわけで、自己診断で「私、ひょっとしてPMS/PMDD?ってなった人は、日常に支障をきたしているなら受診を考えてみてほしい。

 

ここで原因だけど、ぶっちゃけ「これが原因ですドヤ!」というものはなし。なんかホルモンやらセロトニンやらが関わってるらしいけど。よって、日常生活で「これに気をつけたらいいよ!」というものもない。

 

治療

まず、婦人科受診のハードルが高いだろうけど、内診は必要ない。自分の最も困っている症状を伝えてくれ。自己診断表に記入していただいたりするとなおわかりやすし。

して、薬なら西洋薬に不安があるか、ピルや向精神薬はどうだろうか。治療に対しての希望や不安も率直に話してみよう。

 

漢方薬:効く人は効く。まずはここからお試しでもいいと思う。大きな副作用はあまりなし。費用安し。毎日飲まなくてもよし。

ハーブ:自分がくわしくないこともあって使ってないが、そういう治療もあるらしい。

低用量ピルPMSの重症型がPMDDと考えればいいけど、精神症状に効果のあるピルもあります。費用高し。月3000円くらい。血栓のできるリスク有(妊娠でできる血栓の1/6のリスクと低いが知っておく必要あり)。毎日飲む必要あり。避妊効果もついでにあり。

向精神薬:毎日飲まずとも、症状の出る排卵後から月経開始くらいまで飲めばよし。費用安し。

メンタルの症状がメインで、比較的暴力になってしまう人は日常生活や社会生活に支障や破たんをきたしているので、なんでもいいんで治してください!っていう状態になっていることが多くて、飲むことに抵抗が低いように思うけど、中等症くらいの人だと「私が私でなくなってしまうのでは」「依存が怖い」「どういう変化があるのかわからなくて怖い」ってパターンが多いかも。

いや、人格変わるわけじゃないしひどい依存性もないし、気持ちのジェットコースターを平坦にするってだけです。ろれつが回らなくなったりもしません。念のため。

治療法の選択は好き好きというか、症状や切迫具合、主治医と相談して決めましょう。どの治療にも良し悪しやリスクというものがあります。

なお、生理前に死にたくなるような人は向精神薬を飲んだほうがいいとは思います。

 

終わりに

PMS/PMDDは、治療が必要なのによく知られておらず、苦しんでいる本人さえ気づいていない病気だったりします。

この病気が知られること、適切な治療につながり、困っている人が支障なく日常を送れるようにと書きました。主治医になれるわけではないので、みなさんかかりつけの産婦人科医を作って相談してみてください。

生理のない男性も、知ることで受診をうながすことができます。

まだまだ「PMS/PMDDってなんなん?」という空気ではありますが、みんな名前を聞けば思いつくくらいの認知度になってほしいと思います。じゃな!自己診断表はめんどくさいけどTwitterの画像開くか、「PMDD 自己診断表 チェック」で出てくると思うよ!