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女性医学会特別講演 野田聖子さん「不妊治療、卵子提供のち障害児の母として」

2016年11月5日、女性医学会の特別講演として行われた講演を文字にしたものです。カッコ書きは私の感じたことや補足です。

細かい言い回しなどは違う点もあると思いますが、おおむね文字にできたので多くの皆さんに読んでいただけるといいなと。

よく高齢で子どもを産み、その子が障害者であったことでバッシングされる野田聖子さんですが、生の声を聴けたのは良かったです。

 

(前置きとして、座長の先生と卵子提供に関してバトッたことがあることからスタート。)

1960年生まれで、26歳のとき県議に。産んでから大臣になるのがよろしいのですが、大変遅れてしまった。
でも、世間のキャリアウーマンという集団が、20~30代に出産、結婚の機会がなかったことの証左であり、義務教育では卵子の老化について教えられなかった。
つまり、「社会的不妊」、社会が作り出した不妊である。そのような人たちの代弁をできればと思っているが、カミングアウトするたびにバッシングされた。
不妊治療、開始した40歳時に気持ち悪いと言われたことがスタートになっている。子どもを産めないことが女性失格の烙印を押されるような、不妊の人が極秘に治療していた時代であった。

 

男女雇用機会均等法の弊害として、男と同じように働けるなら、同じ役職を与えてもいいよということがあり、みな婚期や出産が遅れていく。
私自身、毎月生理があれば妊娠はできると思っていた。国会議員のくせに勉強していないのかと叩かれたため、義務教育でそういうことを教えてきたんかいと文部科学省に文句を言いに行ったら、教育要綱に一切教えるべきという記載はなかった。

 

結婚したとき、同じように高齢結婚、出産した作家の林真理子さんに、早く産婦人科に行けと言われた。いや、妊娠できるよと思っていたが、敬愛する先輩の言うことなので産婦人科のドアを叩く。そこから泥沼のような6年間が始まった。体外受精を14回した。4回目の移植で一度は妊娠したが流産。(流産は働きすぎたためなんでしょうかとおっしゃられたがそれは違う単に確率の問題で、40歳は40%の流産率)


しかし4回目で妊娠はできたため、その後も治療を継続。少ない可能性なのにそれに望みをかけてしまった。前の夫との関係は受精卵が尽きたときに終わった。別れた夫は、いい人なんですよ。でも、正常な夫婦関係、生活(セックス含む)ができなくなってしまった。これは不妊治療をしている多くの人が同じだと思う。(たしかに医師に指示された日しかセックスのできない不妊カップルはたくさんいるし、食事や行動に制限をかけて不妊治療のことしか見えなくなったり、予定が立てられないなどの事態もよく発生する)
今セックスをしたら体がおかしくなって妊娠できなくなってしまうかもしれない。素人的にはそう思ってしまう。

 

体も心もボロボロで、お金も時間も、愛もなくなってしまい、なんのために一緒にいるのかわからなくなってしまい、憎み合う前にということで別れることになった。

キャリアウーマンの多くは、がんばれば報われると信じている。それがいきなり壁にぶつかるのが不妊治療。今はがんばっても報われないこともあると伝えている。


今の不妊治療は問題があり、どんどんステップアップしていく。人工授精、体外受精卵子提供。一回50万かかる体外受精など、今の若者が経済的にできるのか。富裕層しか不妊治療を行えないのではないか。また、日本の場合は、親になることではなく、産むということがゴールになっている。
卵子精子提供の道を開くのが必要。

 

二番目の夫は年下。最初の夫も年下だったが、年下好きというわけではない。出会ったときに子どもは産めないよとお話して、いいよと言ってもらえた。でも、彼の子どもを、と思うようになった。一緒に子どもを育てられたらなと特別養子縁組をしようと思ったが、共稼ぎで、母親が高齢であることを理由に斡旋団体に断られ落ち込んだ。ショックでした。日本の養子縁組は、親になる人への負担が重すぎる(専業主婦、主夫であるとか年齢制限とかそういうハードルが高い)。不妊治療でダメだと言われたときに、続いて「親」になれる方法を考えるべき。

 

インターネットの仕事をしているパートナーの探してきたのが卵子提供という方法だった。最低最悪の行為をしているとバッシングされた。法的に禁止されてはいないが、産婦人科学会では認められていない。よって日本国内で卵子提供を受けることはできない(禁止されていないが、やったときの法整備もされていないし)。一方で多数の精子提供は行われているのに?精子は簡単に出る、でも卵子を採取するにはリスクがある、というのが理由だった。日本は先進国で、安全に採卵する技術はあるのに、リスクという理由だけで卵子提供が行われていない。


卵子提供を受ける際、他にも60代でも卵子提供を受けて、ひっそりと出産している人がいることを知った。実態としてはかなりいるのではないかと思っている。こっそりやらなければいけないことが先進国として問題だと思う。ちゃんとしておかなくてはいけないのは出自の問題。
もう一つの卵子提供の一番の問題は隠蔽。遺伝子上、あたかも実子であることのように産むが、卵子提供を受けて、遺伝学的には母の遺伝子を受け継いでいないため、何か病気になったりしたときにかなりそれが障壁になる。(まぁたしかに遺伝するとして知られているものだけでなく、癌へのなりやすさや糖尿病へのなりやすさなども異なるであろうし)

また、「卵子提供が注目されると私が疑われ、親子関係にヒビが入る」と卵子提供で出産をした複数の人からクレームを受けた。


私の場合、出生前診断で、妊娠20週を迎える前からかなりの障害を抱えてくることが予想された。それでも中絶を選ばなかったのは、私に経済力があるからだと思う。中絶を選ぶ人のことは責められない。なぜなら今の日本は障害を持った人に冷たい社会。親は、障害児を産んだ罰のようにつきっきりで看護をしなくてはならない。それなのに産めとは言えない現状がある。

 

お産をするときには、看取り産になるかもしれないよと言われた。引き算や足し算は知っているが、看取り産てなんだよ、と思った。でも、そんな息子も来年小学生になる。
何度も外科手術を乗り越えてきたが、そんな医療の現場では、親は無力であると感じた。
障害児を産んで大変と言われるが、むしろ医療の問題に切り込んで行ける、息子は「パスポート」。息子の障害があるからそこから勉強して、関連に働きかけていける。社会にいいバトンを渡すために必死である。

 

子育ての今までに、命は大変脆いものであるとしみじみ感じた。三回心肺停止に陥った。国会議員なのに(医療行為としては)子どもになにもできない。真っ青から茶色がかった顔色に息子がなっていくのを見ながら、ああもうお別れなんだなと感じたりもした。それでも必死でバギング(人工呼吸)、蘇生したので、こうだと確実なものではないのが命であるというようにも感じた。それ以来、いろんなものを命としての視点で見るようになった。例えば、自衛隊も、自衛隊というものでなく、誰かの親であり、子であるという「命」である。

 

ここで、政治の話にうつります。

 

我が国の人口は長期的に急減。
人がいないと国が成り立たないということに気づいた人がいなかった。人のクオリティの問題もあるが(抱える問題としてのことを指していると思われる)、昔は高齢者自体が少なく、(若いうちに死んでいた)介護すべき老人を抱える若者の割合は7%以下だった。そういった意味で、老人への負担を抱える若者の割合などの状況が今とは全然違う。


急減する少子化の中で、内需に希望は見出せない。今までのことを(失敗だったと)覆すには自民党としてはジレンマもあるが、言っていかなくてはいけない。

これからの決め手は女性。成長戦略というが、具体的な方策はない。女性を活用することがこの国のポテンシャル。(活躍ってなんだろう)
実態として、女性は働いている。しかし、専業主婦層の多い時期から少子化は始まっていた。よく、女性に働く場を与えたから少子化になったんだと自民党のおじいちゃんはいうが、それは専業主婦の多い時代から少子化は始まっていたことで違うと論破できる。まずは同じことをしていても賃金の格差がある。共働きといっても、1:1のダブルインカムではなく、3:1くらいの収入比が現状。

 

(ここで女性の多い職場と働いている人数、年収などのスライド)
保育士平均年収317万。介護士307万。看護師473万、大企業645万。
活躍というけど、活躍できているのは氷山の一角。ここの賃金の格差を埋めることは必要。働き方(時間など)も変更していく必要がある。
また、方策についても、衆議院議員だと女性は9%しかおらず、そのような割合では、女性の要望が全く通らない。男性向けのものばかり通る。薬もそう。ピルは何十年もかかったのに、バイアグラは一瞬で通った。

 

今後の少子化打開策の一つとして、性教育もかかりつけの産婦人科医を作り、上手につきあうべき。歯医者などは小さな頃から行っている。恥ずかしくない関係に位置づけられているから大きな口を開けて診察してもらうことができる。だから、恥ずかしくない時期から関係を作るべき。恥ずかしくなってきてからでは行かないし。(まぁそうだけど、連れて行く保護者は時間をとれるかとか、その受診料は誰が負担するんやという問題はあろう)
ドックも男性に必要なもの以外はオプションで、高い。頸癌も20代にとっての数千円は高い。そういうことへの支援をしていくべきではないか、ということで時間になりましたので終わります
(めっちゃ盛大かつ長い拍手