日本の中絶は患者を懲らしめるためのものなのか

ツイッターを眺めていたところ、

「医療手技はよく『懲らしめ』に使われる。日本の中期中絶は麻酔を使わない、初期中絶も世界の主流である吸引法ではなく痛みを伴う掻把術であるのもそうだ」

「古い手技に固執していることで患者への身体的負担と苦痛をあえて維持している」

「中絶薬が日本で認可されないのは負担の少ない中絶は悪だからという日本的価値判断があるのでは?」

「中絶は開業産婦人科医の主な収入源の一つなので既得権益にしがみついているのでは?」

という精神科医のポストをみて?????ということばかりだったのですが、医師でさえそれならば、そのように思っている人も多いんだろうなー。

 

というわけで、いや、違いますよということについてつらつら書いていきます。

 

まず、中期中絶とはなにかですが、膣から手術できない大きさに育った胎児の中絶法です。点滴を使ったり膣剤を使用しますが、通常のお産のように分娩するので痛みが伴います。

ここでふりかえってほしいのは、通常のお産で麻酔、つまり無痛分娩は普及しているかということですけど、してません。痛みがあればこそ母親になれる精神論がそれを阻んでいる説も強いですけど、最も普及しない理由は麻酔科医の不足です。365日24時間対応できるマンパワーはないです。

そんなわけで、当然同じような中期中絶についても麻酔は普及していません。医療保険は使えないので、どうしても自費でいいからしてほしいというならありかもしれませんけど。

 

初期中絶についても世界で主流である吸引法でなく古来よりの掻把術にこだわるのはなぜかということですが、単に機材が高価すぎるからです。中絶でも流産でも使用する医療器具は同じですが、流産の費用はだいたい3万程度です。

吸引法で患者ごとに使い捨ての器具を使うと2万くらいかかるので、薬剤料など合わせるともう人件費は出ない計算です。

医業はボランティアではないので収益を出す必要がある以上、初めから赤字とわかっている方法は普及しないでしょう。

 

そして、掻把術は痛みを伴うものであるかといえば、無麻酔で行えば当然激痛ですが通常麻酔を使います。きちんと使えば痛みはないです。寝ているうちに終わります。

「いや、私は痛みがあった!」という人もいるかと思いますが、今の40代以上の医師のほとんどはストレート研修といって、自分の科の研修だけをしてきた医師です。よって、患者を懲らしめているというより、単に痛みをとる麻酔薬の知識がないだけというパターンも散見されます。そういう先生にはちょっと勉強してほしいかな…。

ただし、母体保護法指定医のごく一部ではあるけれど、患者を懲らしめる意図は持っているのは事実だろうと思います。なぜなら自分の昔の上司がそういう人だったからです。今もその医師がそういう考えなのかはわからないけれど、少なくとも20年近く前にはいました。個人的には、そういう医者はご自身が医療行為を受ける際も多少痛みを感じながらされたらよろしいんじゃないかなとは思っています。

 

そして、中絶薬ですが、飲めばするっと中絶できる夢のような薬ではありません。

個人輸入する人たちへの注意喚起として厚労省が記載しているのは、内服可能な期間は、最終月経から数えて49日間です(WHOでは妊娠9週までは可能、ただし成功率は週数が進むと下がっていく)。だいたい妊娠6週〜9週くらいですので、薬の処方を受けるには、その時点で病院を受診している必要がありますが、現実には最終月経を覚えていない人もかなりいてそこそこ週数が進んでから受診する人も多いので、認可されたとしても限られた人しか内服できないと思われます。

ので、ぶっちゃけ認可されたとしてもそんなに主流にはならないんじゃないかな…。

あと、内服後は当然出血が起こりますし副作用もありますのでそこはお忘れなく。

 

中絶が開業医の主な収入源なのかどうかは私は勤務医なのでわかりませんけど、病院では圧倒的にお産と手術が収入源でしたね。

大昔にピルが認可されないのは中絶が減るからだという話は聞いたことはありますが、現代にそれで食ってる開業医あんまきかないですね。

ただし、やはりごく一部にばんばん危険な中絶もやって死亡者を出しているクリニックもありますので、同業にそういう医師がいるということは残念ながら認めないといけないところ。

 

なんだやっぱり懲らしめるために痛みがあっても良しとする医師もいるしがっぽり中絶で儲けてる医師もいるんじゃんということではありますが、それが日本全体の産婦人科医、母体保護法指定医と思ってもらっては困る、つかデマっていうか陰謀論でしょそれは。

ヘイトスピーチ垂れ流してる人をみて海外の人が「これが日本人の総意か!」と思っていたら「いやいやそれは違うから、ごく一部だから」って誤解を解きたくなるでしょ。そんなかんじ。

まあ母体保護法指定医の仕事とかどうでもいいでしょうし器具が高いとか麻酔科医がいないとか知ったこっちゃないと思われるでしょうけど、そして医者が金の話するのは好まれないのも知ってるんですが、医療はボランティアじゃないんで、利益は出さなきゃ食っていけないんですね。どんな小さいクリニックも事務がいれば看護師はじめスタッフもいるから食わせなきゃいけない。経済的な負担が上昇してもよければ、吸引法での流産手術は増えると思うし無痛分娩も増えると思うよ。

 

そんなわけで、当該の精神科医師のツイートは「これが日本の医療だ!」みたいに思われると困るんで書きました。

多くの産婦人科医は母体を保護する立場なので、痛みを取り、次回以降妊娠希望がないならその方法を伝えていて、懲らしめるための医療はしていないということだけは知っておいてほしいところです。

追加)

生理前、イライラしたり死にたくなったり暴力、暴言をはたらきそうになるあなたに、そうでなくとも生理前、つらいあなたに~月経前症候群と月経前不快気分障害

 

ある日、何とはなしに「産科と婦人科」2016年12月号を手に取ると、「月経前症候群、月経前不快気分障害の最新知見」とな。

 

それが、あまりに知ってくれみんな!という内容だったので、かみ砕いて文章化していこうと思う。

 

 

PMS/PMDDとはなんじゃ

 

PMSとPMDDは、古くは紀元前から認識され、古代ギリシャ人は「子宮が胎児を探し求めて体内をさまよい、月経が来るとおさまる」という説を信じていたもよう。ホラーすぎる。

 

両方とも、大きな差はないが、鬱々としたメンタルの落ち込み、怒りの爆発や不安感などの精神症状、おっぱいの張りやむくみ、おなかのふくれるかんじや頭痛、体重増加などの身体症状両方で、実際には、月経前になると普段ならやり過ごしているようなことでもイライラがコントロールできない。それへの自己嫌悪もひどい。

 

仕事をしている人なら職場での人間関係に支障をきたすこともあるし、子持ちだと「虐待してしまいそう」と駆け込んでくる人も。過食をくりかえしたり、むくみに悩んだり「普段の私はこんなんじゃない!つらい!」っていうかんじ。

さらに高校生は11%がPMSPMDDで学校欠席って、学業に支障出ちゃってる!

 

「中等症から重症のPMS/PMDDで治療が必要な75人のうち、治療を受けているのは5人、患者は200万人いる」て、おいおい!

 

というわけで、自己診断で「私、ひょっとしてPMS/PMDD?ってなった人は、日常に支障をきたしているなら受診を考えてみてほしい。

 

ここで原因だけど、ぶっちゃけ「これが原因ですドヤ!」というものはなし。なんかホルモンやらセロトニンやらが関わってるらしいけど。よって、日常生活で「これに気をつけたらいいよ!」というものもない。

 

治療

まず、婦人科受診のハードルが高いだろうけど、内診は必要ない。自分の最も困っている症状を伝えてくれ。自己診断表に記入していただいたりするとなおわかりやすし。

して、薬なら西洋薬に不安があるか、ピルや向精神薬はどうだろうか。治療に対しての希望や不安も率直に話してみよう。

 

漢方薬:効く人は効く。まずはここからお試しでもいいと思う。大きな副作用はあまりなし。費用安し。毎日飲まなくてもよし。

ハーブ:自分がくわしくないこともあって使ってないが、そういう治療もあるらしい。

低用量ピルPMSの重症型がPMDDと考えればいいけど、精神症状に効果のあるピルもあります。費用高し。月3000円くらい。血栓のできるリスク有(妊娠でできる血栓の1/6のリスクと低いが知っておく必要あり)。毎日飲む必要あり。避妊効果もついでにあり。

向精神薬:毎日飲まずとも、症状の出る排卵後から月経開始くらいまで飲めばよし。費用安し。

メンタルの症状がメインで、比較的暴力になってしまう人は日常生活や社会生活に支障や破たんをきたしているので、なんでもいいんで治してください!っていう状態になっていることが多くて、飲むことに抵抗が低いように思うけど、中等症くらいの人だと「私が私でなくなってしまうのでは」「依存が怖い」「どういう変化があるのかわからなくて怖い」ってパターンが多いかも。

いや、人格変わるわけじゃないしひどい依存性もないし、気持ちのジェットコースターを平坦にするってだけです。ろれつが回らなくなったりもしません。念のため。

治療法の選択は好き好きというか、症状や切迫具合、主治医と相談して決めましょう。どの治療にも良し悪しやリスクというものがあります。

なお、生理前に死にたくなるような人は向精神薬を飲んだほうがいいとは思います。

 

終わりに

PMS/PMDDは、治療が必要なのによく知られておらず、苦しんでいる本人さえ気づいていない病気だったりします。

この病気が知られること、適切な治療につながり、困っている人が支障なく日常を送れるようにと書きました。主治医になれるわけではないので、みなさんかかりつけの産婦人科医を作って相談してみてください。

生理のない男性も、知ることで受診をうながすことができます。

まだまだ「PMS/PMDDってなんなん?」という空気ではありますが、みんな名前を聞けば思いつくくらいの認知度になってほしいと思います。じゃな!自己診断表はめんどくさいけどTwitterの画像開くか、「PMDD 自己診断表 チェック」で出てくると思うよ!

こんなもんだと思うな生理痛~内膜症の話

産婦人科の外来やっててけっこう驚くのが、「生理痛はこんなもんだ」と我慢している人があまりにも多いこと。

 

「痛みで吐く」「学校や仕事は月のうち2日くらいは休んでしまう」「のたうち回るほどの痛みだが我慢している」

 

いやいや、個人的には生理なんて血が出てるのか出てないのかわからないくらいだし、痛みどめを使うこともほとんどないし仕事休んだこともないって。

特に「痛みどめを飲んでも効かない」痛みは「まーこんなもんだと思う」」でほっとくな。

 

エコーやMRIで検査しても全く病気もないが痛いってパターンは、よく知らんけど思春期くらいの女の子に多い。

 

成人以降要注意なのが子宮内膜症

 

わかりづらい話になるが、子宮は毎月妊娠に備えて内膜という組織が分厚くなる。妊娠しなければ、次に備えてそれが剥がれ落ちるのが生理というやつで。

原因は不明だが(月経血が卵管を通って逆流するのが原因とする説はある)、内膜が子宮以外の場所に落ち着いて、生理のように膣から出血するみたいな出口がないので、腫瘍のように大きくなっていくのが内膜症。卵巣にできることが多いけど、風船のように膨らむだけでなく、周りの子宮や腸に癒着といってべったりはりつくことがある。不妊の原因でも多いよ。破裂することもあるし(超激痛)、まれだけど癌化することもある。そんなわけで、

 

・生理痛が痛みどめを飲んでもよくならない

・排便時に肛門がめちゃくちゃ痛い

・生理じゃないときにもおなかが痛い

そんな人は一回産婦人科行ってほしい。

 

治療は様々。

ピル:費用は月3000円くらい。血栓のできるリスクはあるが、妊娠して血栓のできるリスクの6分の1程度。毎日飲むめんどくささはあるけど、連続して3か月くらい飲み続けて、生理の回数自体を減らすこともできる。旅行や水泳、この日はセックスしたいイベント日など、お好みで期間が調節できる。月経前症候群の治療にもなるから、どっちもある人には両方治療できていいかもね。

 

ディナゲスト:保険が効くけど、値段が高い!1錠470円て!ただし今度ジェネリックが出るらしい。痛みメインの人によく効くが、長期の内服で骨粗鬆のリスクが上がるといわれている。不正出血の続く人が多いけど、ほかの治療と組み合わせると副作用が減るとは言われている。

 

IUS:避妊用のリングとして登場するも、生理の量が多い人や痛みのつらい人、内膜症の人にメインで使ってる。費用は10000円以下で4年程度はもつ。外来で簡単にいれられるのと、お産したことがない人はちょいと入れにくいが、ピルのように年齢で上がるリスクなどがなく使い勝手が良い。10%ほどで生理の出血そのものがなくなる。短所として抜け落ちて入れ直しになることと、たまに腹膜炎を起こすことがあるとのこと(毎週のようにいれてるけどまだその合併症はなし)。月経前症候群には効果なし。

 

手術:いまどきは腹腔鏡という小さい傷だけでできることが多いけど、やっぱ最終手段というか、2年以内の再発が多い。不妊症とか、かなり腫瘍が大きくなった人の治療法。

 

偽閉経療法:昔はこれがメインの治療法。点鼻薬と月一の注射とあるんだけど、月に1万円以上かかるのと、無理やり閉経したと体に思い込ませる治療法で、更年期症状がガッと出る人が多いので、最近は手術ありきで小さくするために使うとかって人が多い。保険上半年しか使えないので、症状が元通りになったり、内膜症の治療としての使い勝手はあんまりよくない。

 

妊娠する:これは治療法がほぼないころ、産婦人科医が「妊娠すればよくなるよ」と言っていたものです。「妊娠したいわけじゃねえ」という声をガン無視した無神経な発言をされた方も多いのでは。でもまあ、妊娠したくて内膜症の人は、妊娠するのが治療にはなります。あと、不妊の原因になるから妊活始めて1年以上妊娠しなかったら産婦人科に行くといいよ。

 

そんなわけで、生理痛から見つかることのある内膜症の治療についてでした。自分に合った治療法を選択してみてください。

 

暗い話

たいして嫌いでも好きでもない、けど研修中からいろんなことを教えてくれた先輩が死んだ。

自殺だった。

自殺してしまいそうだから入院させてくれと入院したと聞いた。

退院を前にした外泊で、先輩は死んだ。

生きたかったんじゃないのかよ!という怒りと、そんなにも生きるのがつらかったんだなという気持ちと。

たいして仲良いわけじゃないから涙が出たりするわけでもないんだけど、死のうとしてるのを知ったからと言って、私には何もできなかったと思うけど、

さようなら

 

女性医学会シンポジウム~ 「性教育と性感染症」なるほどメモ ~主に中高生に関する問題をどのように産婦人科医がとらえているか的な話

シンポジウムは、シンポジストがそれぞれのお題でお話。記事のボリュームは、なるほど、これは知っとくといいですね的な順になっており、それぞれの先生が密度の濃いお話をされていました。聴き取りながらiPadに入れてたので、聞き逃していることとか多少のズレがあるかもしれません。カッコ内は感じたこととか補足です。

性教育というととかく「セックスを勧めるのか!」「妊娠の知識を持てということは女に妊娠しろということか!」という意見が出るが、どれも的がずれている。

 

妊娠に関する知識を持つということは、同時に避妊に関する知識も得られるということ。当然、女性だけでなく、男性側も知っておくべきこと。

「中高生に対する低用量ピルの役割の伝え方」

あおもり女性ヘルスケア研究所 蓮尾豊先生


中高生に対して、特に中学2年生くらいのときは、ピルと避妊を積極的に結びつけるのではなく、月経トラブルや月経周期調整の役割があるを伝える。ついでに避妊の知識も伝えるようにすれば、教育的な観点からも間違ったものにはならない。

(20歳前後までは月経不順であったり、量もまちまちで、学業その他に支障の出ることもある。また、原因のはっきりわからない月経痛が特に思春期では多い。性教育=セックスを推奨するのかみたいな意見は根強いが、はよその層は死滅してほしい)

中学3年生くらいからセックスとの関連も伝えていく。

産婦人科医の役割については、診察ではなく、相談にきてほしいと、産婦人科医自らが発信するべきである。

(困った時には相談される相手になろうという呼びかけであるが、産婦人科医の診察で屈辱的な気分を味わったりするなどして二度と受診したくないという声があることも産婦人科医は十分に知っておくべきだと思う)


また、みかけや年齢に関係なく、患者を診察する際には、妊娠の可能性を考えるべき。
(一度でも月経があれば妊娠する。というか、初経前にセックスしていれば妊娠していることもある。身内からレイプされる人だって激レアではない)

コウノドリや若年の妊娠に関し、世間はひどく驚き、センセーショナルなものとしてとらえているが、日常に数百ある一つのことをドラマにしているから、私たち産婦人科医は全く驚かない。

ところで、38年にも及ぶ月経期間が、女性にはハンディキャップにもつながる(仕事や学業に支障をきたすという意味)。


また、イベントに月経がぶつかったらどうしようと不安を感じる時がある。
修学旅行や受験、デート、大切な行事など。そこに産婦人科医は介入すると大きな女性の生活の質向上に貢献できる。年4回くらいに出血の回数を減らすこともできる。
(ピルは、21日間飲んで7日間休薬するパターンで飲んでいる人が多いと思いますが、実は数ヶ月飲み続けて月経そのものの回数を減らしたり、イベントに合わせてずらすことも可能です)

 

ここで、月経周期の調節法に関するスライドをご覧ください。

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2008年、オリンピック欧米女性選手の83%がピルを服用していたが、4年後の2012年でも、日本人選手のピル内服率は7%のみ。理由はドーピングに引っかかるのではないかとか基礎的な知識のなさ。今まで、ピルを理由に金メダルを剥奪された選手がいただろうか。
(月経の時って血液が生理用品から漏れて服を汚さないかとか気になるので、アスリートなら余計に出血量も痛みも減り、期間のコントロール出来る方が有用と考えているのがユーザーとしての考えであろう)

産婦人科医の要望としては、望まない妊娠を避けることだけが性教育ではなく、希望した時に妊娠できるようになってほしい、そのための知識を持ってほしい。
(産むか産まないかは個人の選択や自由に任されており、妊娠のしやすい時期や方法を知るのは逆に避妊の知識にもつながり、女性に産むことを強制するものではない)


また、時代によって、各世代の社会的な役割があり、江戸時代でならともかく、10代は子育て期ではなく、学んだりする時期。
(昔はそれこそ平均寿命も短く、十代からの出産はなんら珍しいことではなかったが、現代では10代はもちろんのこと、さらに20代までの多くが妊娠ではなく学業や仕事を抱えている)

10代で出産した人、中絶した数のデータ。

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15歳で189名中3人は2人目を産んでいる。
17歳で、3名は3人目の出産、1914名中84名は2人目の出産。


なぜ、希望しない妊娠になるのか。
4月の妊娠なら、8月になると中絶可能な期間は終わってしまう。あっという間に時が過ぎ、中絶可能な時期が過ぎ、望まない妊娠が出産へとつながる。
(つまり、産む気がなくとも妊娠週数などの知識がないために、初めて産婦人科を受診する頃には産むしか選択肢が残されていない。まぁ、初めて受診して臨月とかあるあるですし太ったと思ってダイエットしてたとかもあるあるですし)

 

「中高生の望まない妊娠に関して」 ウィメンズクリニック・かみむら 上村茂仁先生

産み、育てられる年齢になるまで性的な行為を中高生はしないことを伝える。
産婦人科医は、中絶したらピル、緊急避妊ピル希望したら継続的にピルの内服をするようすすめる。


(こういう時に製薬会社や医者の儲け目的かよみたいな陰謀論がありますが、人口妊娠中絶は自費診療で10万以上はかかるので、ピルをすすめるより、極端に言えばバカスカ中絶する方が収入にはなります)

お互いを大切にしようと思うなら、男の義務でコンドームを。女性の方も、彼が飲んでくれと言ったからピルを飲むのではない。自分の意思で飲もう。


(上村先生は患者さんとメールやLINEで連絡をするタイプの方のようで、普段どういったやりとりがあるのかのスライドが提示されたが、個人情報というか、学会で匿名として表に出すことは患者さんから同意を得られたかもしれないが、ブログへの引用はいかがなものかと思うので省略)


(ここで、避妊の効果はわかりにくいので、5万人が来場するコンサートに例えて妊娠の確率を表現。これはわかりやすいので参考にしてほしい)

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性感染症の動向」 京都府立医大 岩破一博先生


妊娠するのが怖くてオーラルセックスでの性感染症が増えている(膣に挿入するのは妊娠するから怖い、だからオーラルセックスになるけど、基本的に生だから感染症は増えるのであろう)

 

産婦人科医から、あるいは大人からの指導方法としては、〜をするのはダメという指導ではなく、〜するのはかまわないよというお話をしよう。

緊急避妊ピルをもらいに来るのはレイプが約半数。

(マジかレイプ犯、世の中で最も惨めに、孤独に、残酷な死に方で死ね)

通常のつきあいの中では「医者に股を開いて見せたいのか」というパートナーもおり、もらいたくてももらいに来れていないのではないかという可能性がある。

(即時に別れることをお勧めしますね)

先進国の中で唯一性行為によるHIV陽性か右肩あたりに増加、HIV感染の約半数で梅毒との重複感染がみられる(HIV感染を発見したら梅毒も調べておくといいすね的な)。

「タビトラ個人の全体の感想」


全員の先生から患者に寄り添おう、真摯に向き合おうという姿勢が見えて大変良かったです(小学生並みの感想)

 

 

女性医学会特別講演 野田聖子さん「不妊治療、卵子提供のち障害児の母として」

2016年11月5日、女性医学会の特別講演として行われた講演を文字にしたものです。カッコ書きは私の感じたことや補足です。

細かい言い回しなどは違う点もあると思いますが、おおむね文字にできたので多くの皆さんに読んでいただけるといいなと。

よく高齢で子どもを産み、その子が障害者であったことでバッシングされる野田聖子さんですが、生の声を聴けたのは良かったです。

 

(前置きとして、座長の先生と卵子提供に関してバトッたことがあることからスタート。)

1960年生まれで、26歳のとき県議に。産んでから大臣になるのがよろしいのですが、大変遅れてしまった。
でも、世間のキャリアウーマンという集団が、20~30代に出産、結婚の機会がなかったことの証左であり、義務教育では卵子の老化について教えられなかった。
つまり、「社会的不妊」、社会が作り出した不妊である。そのような人たちの代弁をできればと思っているが、カミングアウトするたびにバッシングされた。
不妊治療、開始した40歳時に気持ち悪いと言われたことがスタートになっている。子どもを産めないことが女性失格の烙印を押されるような、不妊の人が極秘に治療していた時代であった。

 

男女雇用機会均等法の弊害として、男と同じように働けるなら、同じ役職を与えてもいいよということがあり、みな婚期や出産が遅れていく。
私自身、毎月生理があれば妊娠はできると思っていた。国会議員のくせに勉強していないのかと叩かれたため、義務教育でそういうことを教えてきたんかいと文部科学省に文句を言いに行ったら、教育要綱に一切教えるべきという記載はなかった。

 

結婚したとき、同じように高齢結婚、出産した作家の林真理子さんに、早く産婦人科に行けと言われた。いや、妊娠できるよと思っていたが、敬愛する先輩の言うことなので産婦人科のドアを叩く。そこから泥沼のような6年間が始まった。体外受精を14回した。4回目の移植で一度は妊娠したが流産。(流産は働きすぎたためなんでしょうかとおっしゃられたがそれは違う単に確率の問題で、40歳は40%の流産率)


しかし4回目で妊娠はできたため、その後も治療を継続。少ない可能性なのにそれに望みをかけてしまった。前の夫との関係は受精卵が尽きたときに終わった。別れた夫は、いい人なんですよ。でも、正常な夫婦関係、生活(セックス含む)ができなくなってしまった。これは不妊治療をしている多くの人が同じだと思う。(たしかに医師に指示された日しかセックスのできない不妊カップルはたくさんいるし、食事や行動に制限をかけて不妊治療のことしか見えなくなったり、予定が立てられないなどの事態もよく発生する)
今セックスをしたら体がおかしくなって妊娠できなくなってしまうかもしれない。素人的にはそう思ってしまう。

 

体も心もボロボロで、お金も時間も、愛もなくなってしまい、なんのために一緒にいるのかわからなくなってしまい、憎み合う前にということで別れることになった。

キャリアウーマンの多くは、がんばれば報われると信じている。それがいきなり壁にぶつかるのが不妊治療。今はがんばっても報われないこともあると伝えている。


今の不妊治療は問題があり、どんどんステップアップしていく。人工授精、体外受精卵子提供。一回50万かかる体外受精など、今の若者が経済的にできるのか。富裕層しか不妊治療を行えないのではないか。また、日本の場合は、親になることではなく、産むということがゴールになっている。
卵子精子提供の道を開くのが必要。

 

二番目の夫は年下。最初の夫も年下だったが、年下好きというわけではない。出会ったときに子どもは産めないよとお話して、いいよと言ってもらえた。でも、彼の子どもを、と思うようになった。一緒に子どもを育てられたらなと特別養子縁組をしようと思ったが、共稼ぎで、母親が高齢であることを理由に斡旋団体に断られ落ち込んだ。ショックでした。日本の養子縁組は、親になる人への負担が重すぎる(専業主婦、主夫であるとか年齢制限とかそういうハードルが高い)。不妊治療でダメだと言われたときに、続いて「親」になれる方法を考えるべき。

 

インターネットの仕事をしているパートナーの探してきたのが卵子提供という方法だった。最低最悪の行為をしているとバッシングされた。法的に禁止されてはいないが、産婦人科学会では認められていない。よって日本国内で卵子提供を受けることはできない(禁止されていないが、やったときの法整備もされていないし)。一方で多数の精子提供は行われているのに?精子は簡単に出る、でも卵子を採取するにはリスクがある、というのが理由だった。日本は先進国で、安全に採卵する技術はあるのに、リスクという理由だけで卵子提供が行われていない。


卵子提供を受ける際、他にも60代でも卵子提供を受けて、ひっそりと出産している人がいることを知った。実態としてはかなりいるのではないかと思っている。こっそりやらなければいけないことが先進国として問題だと思う。ちゃんとしておかなくてはいけないのは出自の問題。
もう一つの卵子提供の一番の問題は隠蔽。遺伝子上、あたかも実子であることのように産むが、卵子提供を受けて、遺伝学的には母の遺伝子を受け継いでいないため、何か病気になったりしたときにかなりそれが障壁になる。(まぁたしかに遺伝するとして知られているものだけでなく、癌へのなりやすさや糖尿病へのなりやすさなども異なるであろうし)

また、「卵子提供が注目されると私が疑われ、親子関係にヒビが入る」と卵子提供で出産をした複数の人からクレームを受けた。


私の場合、出生前診断で、妊娠20週を迎える前からかなりの障害を抱えてくることが予想された。それでも中絶を選ばなかったのは、私に経済力があるからだと思う。中絶を選ぶ人のことは責められない。なぜなら今の日本は障害を持った人に冷たい社会。親は、障害児を産んだ罰のようにつきっきりで看護をしなくてはならない。それなのに産めとは言えない現状がある。

 

お産をするときには、看取り産になるかもしれないよと言われた。引き算や足し算は知っているが、看取り産てなんだよ、と思った。でも、そんな息子も来年小学生になる。
何度も外科手術を乗り越えてきたが、そんな医療の現場では、親は無力であると感じた。
障害児を産んで大変と言われるが、むしろ医療の問題に切り込んで行ける、息子は「パスポート」。息子の障害があるからそこから勉強して、関連に働きかけていける。社会にいいバトンを渡すために必死である。

 

子育ての今までに、命は大変脆いものであるとしみじみ感じた。三回心肺停止に陥った。国会議員なのに(医療行為としては)子どもになにもできない。真っ青から茶色がかった顔色に息子がなっていくのを見ながら、ああもうお別れなんだなと感じたりもした。それでも必死でバギング(人工呼吸)、蘇生したので、こうだと確実なものではないのが命であるというようにも感じた。それ以来、いろんなものを命としての視点で見るようになった。例えば、自衛隊も、自衛隊というものでなく、誰かの親であり、子であるという「命」である。

 

ここで、政治の話にうつります。

 

我が国の人口は長期的に急減。
人がいないと国が成り立たないということに気づいた人がいなかった。人のクオリティの問題もあるが(抱える問題としてのことを指していると思われる)、昔は高齢者自体が少なく、(若いうちに死んでいた)介護すべき老人を抱える若者の割合は7%以下だった。そういった意味で、老人への負担を抱える若者の割合などの状況が今とは全然違う。


急減する少子化の中で、内需に希望は見出せない。今までのことを(失敗だったと)覆すには自民党としてはジレンマもあるが、言っていかなくてはいけない。

これからの決め手は女性。成長戦略というが、具体的な方策はない。女性を活用することがこの国のポテンシャル。(活躍ってなんだろう)
実態として、女性は働いている。しかし、専業主婦層の多い時期から少子化は始まっていた。よく、女性に働く場を与えたから少子化になったんだと自民党のおじいちゃんはいうが、それは専業主婦の多い時代から少子化は始まっていたことで違うと論破できる。まずは同じことをしていても賃金の格差がある。共働きといっても、1:1のダブルインカムではなく、3:1くらいの収入比が現状。

 

(ここで女性の多い職場と働いている人数、年収などのスライド)
保育士平均年収317万。介護士307万。看護師473万、大企業645万。
活躍というけど、活躍できているのは氷山の一角。ここの賃金の格差を埋めることは必要。働き方(時間など)も変更していく必要がある。
また、方策についても、衆議院議員だと女性は9%しかおらず、そのような割合では、女性の要望が全く通らない。男性向けのものばかり通る。薬もそう。ピルは何十年もかかったのに、バイアグラは一瞬で通った。

 

今後の少子化打開策の一つとして、性教育もかかりつけの産婦人科医を作り、上手につきあうべき。歯医者などは小さな頃から行っている。恥ずかしくない関係に位置づけられているから大きな口を開けて診察してもらうことができる。だから、恥ずかしくない時期から関係を作るべき。恥ずかしくなってきてからでは行かないし。(まぁそうだけど、連れて行く保護者は時間をとれるかとか、その受診料は誰が負担するんやという問題はあろう)
ドックも男性に必要なもの以外はオプションで、高い。頸癌も20代にとっての数千円は高い。そういうことへの支援をしていくべきではないか、ということで時間になりましたので終わります
(めっちゃ盛大かつ長い拍手

東日本大震災から5年がたったわけだが

先日、ツイッターを始めてかなり早い段階で相互フォローになった産婦人科医と飲んでいて、うちの研修医もいたので、どういう知り合い方をしたのかというところからの説明になった。

 

ちょうどツイッターを始めて半年くらいの時期に、東日本大震災が起きた。それまでは、知らない人からフォローされたり、リプライが飛んでくることに戸惑い、「禿同」とだけコメントのついた引用RTにはリプライを返すべきなのかさえ迷う初心者っぷり。

しかし、ライフラインも、陸路空路全てが閉ざされた。情報の全く入らない世界。経験したことがなかった。


「なにか情報を発信してください」と繋がっていた産婦人科医に言われ、病棟の助産師にきいて思いつく限りの有用かもしれないことをツイートし続けた。そういう中で、たいてい今相互フォローの産婦人科医の先生方とはつながった。

 

その頃のツイッターは、救助や支援を求めるRTで溢れ、極端につらい話や極端にいい話で気持ちは乱高下していた。

 

救助に関するいい話、日本人の礼節の正しさ、節電についての注意喚起。
日本が一つにまとまったかのような錯覚の後が本番だった。

 

AERAは「放射能がやってきた」という扇情的なタイトルを見出しにした。
「鼻血がでた」「原因不明の体調不良」全てが原発の事故のせいになった。

 

病院では、「これ以上放射能を浴びたくない!」といって検査を拒否する人が現れ、あろうことか福島出身の母親からは「福島では無脳児がたくさん生まれているんだって!」と「報告」された。
「いや、そういうことがあれば公式に発表があるから」と言っても、ヒステリックに「お前は騙されているのよ!」と返ってきた。私はそれ以来、「科学的」な話を一切母親とはしていない。
話にならないからである。

 

リアルで関係のある間柄でもそんなわけだから、ネットで、前提とした知識を共有しない顔の見えない人たちが誤解をしていようとも、解くことはできないだろうと推察され、放射能の話題は周囲のツイッター医師にとって、アンタッチャブルな話題になった。どんな罵倒が飛んでくるかわからない、ツイッターは戦場になってしまった。

 

「手術台を水平に戻してください」と言いたかったのに「正常位でお願いします」と言っちゃってさ〜とツイートしたとき、「暗い話ばかりだったので、久しぶりに笑いました」というリプライをもらったことは忘れられない。
飲み会も明るい話も自粛、不謹慎の嵐だった。

 

震災前のツイッターがどんな空間だったのか、今はもうあまり思い出せない。しかし、有用なことをツイートする場でもなかったし、デマを打ち消す場でもなかったし、人格攻撃の飛び交う空間ではなかった。

 

あらゆる年代の、あらゆる知識や情報処理能力、リテラシー、全てにおいて差のあるツイッターという社会は、震災によって変わったと思う。
そして、変わったまま5年が経った。


デマを善意で拡散していた人たちは、自省することもなく、次のデマに飛びついている。あるいは、なかったことにしている。
デマと闘ってきた人たちはどうだろう。
ツイッターからは姿を消した。あるいは同じ言説と闘い続けている。
争いが続いたことで何か成果のあった実感を持つ人はいるのだろうか。

 

デマを打ち消したいときに、暴言を吐くのも、せせら笑うのことも、するべきではない。
ただ、優しい、わかりやすい言葉を用いて一から説明した人はこの5年の間、たくさんいた。
今、そういう人をあまりTLで見かけないならば、それはもう疲れたからだ、と思っている。もう十分すぎる時間が過ぎた。

そして、理論で殴れる人と、それを理解する気もなく殴り返す人が残っているだけだ。

 

多分、ツイッターは、日々目にしたおもろいことや変なことを共有できればよかったんじゃないかと思う。そういう意味では、日本語ツイッタラーの多くが震災の被害者であり続けているのかもしれない。

 

個人の見解であって、断定調であってもそれが誰にとっても正しいわけでもなく世の中にはいろんな意見があっていい、あなたの意見とは違うかもしれないが私はこう思ってますみたいな注釈いれて終わります。